これまでは新しく産業廃棄物収集運搬業を始められた方向けの情報を中心にお届けしてきましたが、今回は少し視点を広げて、業歴を問わず活用できる令和8年度の政府支援策についてご紹介します。

環境省・経済産業省・中小企業庁・厚生労働省・日本政策金融公庫などから、産業廃棄物処理業者を対象とした補助金・税制優遇・融資制度が数多く用意されています。
設備投資や資金繰りを検討されている事業者様は、ぜひ一度目を通してみてください。
なお、記事の後半では、小規模事業主・個人事業主におすすめの制度をまとめています。
[令和8年度 産業廃棄物処理業者対象 政府支援策一覧(環境省)](PDF直リンク)
令和8年度に新設された支援策
今年度の一覧の中でも、以下の5つは令和8年度に新たに設けられた支援策です。既存事業に慣れている方も見落としがちなので、特にチェックしておきたいところです。
- 地域資源の徹底活用に向けた資源循環加速化事業(環境省)- 再資源化が困難な資源性廃棄物の技術実証・設備導入を支援
- 再生材供給サプライチェーン構築支援事業(環境省)- 資源循環産業から製造業への再生材の安定供給インフラを支援
- リチウムイオン電池等の火災事故防止・分別回収による安全・経済損失防止対策事業(環境省)- 廃棄物処理施設での電池混入火災対策の選別設備導入を支援
- 自律型資源循環システム強靱化促進事業(経済産業省)- サーキュラーエコノミー移行に向けた新たな資源循環市場創出の取組を支援
- DXセレクション(中堅・中小企業のDX優良事例選定)(経済産業省)- DXによる成果を創出した優良事例の選定・公表(産廃業者の事例も掲載)
①資源循環・脱炭素化に関する補助
プラスチックや金属などの資源循環設備の導入、リサイクル困難素材の処理技術開発、再生材の製造業への安定供給体制の構築など、資源循環をより高度化するための設備投資・実証事業に対する補助が複数用意されています。(補助率は概ね1/2上限、事業によっては中小企業者1/2・それ以外1/3の区分あり)このうち「地域資源の徹底活用に向けた資源循環加速化事業」「再生材供給サプライチェーン構築支援事業」「自律型資源循環システム強靱化促進事業」は【新設】です。
②廃棄物処理施設・発電関連の補助
廃棄物発電や廃熱利用のための設備導入、リチウムイオン電池の混入による火災事故防止のための選別設備導入などを支援する制度があります。(補助率1/3、上限1〜1.5億円程度。発電能力2MW以上は上限3億円、5MW以上は上限5億円。EV収集車・船舶導入は差額の3/4補助)「リチウムイオン電池等の火災事故防止・分別回収による安全・経済損失防止対策事業」は【新設】です。
③車両・輸送関連の補助
収集運搬に使う商用車の電動化(EV・ハイブリッド・天然ガス車等)や低炭素型トラックへの買い替えを支援する制度があります。(補助率は概ね1/2、低炭素型ディーゼルトラックは1/2〜1/3)
④海外展開支援
海外での廃棄物処理・リサイクル事業の展開を検討する事業者向けに、実現可能性調査等への補助があります。(1事業あたり上限900万円程度、または補助率中小企業2/3・それ以外1/2)
⑤税制優遇
最終処分場の維持管理積立金の損金算入、廃棄物処理施設の固定資産税の軽減、廃棄物処理用の軽油に対する軽油引取税の課税免除など、複数の税制上の特例措置があります。(固定資産税は施設種別により課税標準1/2〜1/3、再資源化高度化設備は特別償却最大35%、積立金の損金算入は都道府県知事通知額の30%が上限)
⑥融資制度
日本政策金融公庫による低利融資制度があり、優良産廃処理業者認定制度の認定を受けている事業者は金利面での優遇も受けられます。(融資上限額は事業区分により異なるため個別要確認)
⑦経営強化・認定制度
経営力向上計画や先端設備等導入計画の認定を受けることで、税制優遇や資金調達支援などの支援措置とあわせて活用できます。(賃上げ表明を計画に位置付けることで固定資産税の課税標準を3年間1/2、5年間1/4に軽減)
⑧デジタル化・DX関連の支援
DX認定制度やデジタル化・AI導入補助金など、業務効率化やIT導入を後押しする制度もあります。(IT導入補助金は上限350万円、補助率1/2〜4/5。複数事業者連携の場合は上限3000万円)「DXセレクション(中堅・中小企業のDX優良事例選定)」は【新設】です。
⑨相談窓口
経営課題全般について無料で相談できる「よろず支援拠点」も各都道府県に設置されています。
小規模な会社様・個人事業主におすすめ!
ここまでご紹介した支援策の中から、特に小規模な会社様・個人事業主様に使いやすいものをピックアップしました。
収集運搬業の事業の核「車両(トラック)」への補助
- 低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業:対象が「資力の乏しい中小トラック運送業者」と明示されており、新規参入の小規模事業者・個人事業主がまさに想定読者に含まれる制度です。2025年度燃費基準を達成しているディーゼルトラックへの買い替えを補助率1/2〜1/3で支援します。車両選びの段階からご相談いただけます。
補助率が優遇されているもの
- 中小企業デジタル化・AI導入支援事業(IT導入補助金):小規模事業者は補助率4/5、中小企業は3/4。会計・受発注ソフトやPC導入だけでも使えます。
- 先進的な資源循環投資促進事業/地域資源の徹底活用に向けた資源循環加速化事業/再生材供給サプライチェーン構築支援事業/リチウムイオン電池等の火災事故防止・分別回収対策事業:中小企業者1/2補助・それ以外1/3補助。設備投資系のためある程度の投資体力が必要です。
小規模・個人事業主が明示的に対象になっているもの
- 廃棄物処理業の用に供する軽油に係る課税免除の特例措置(軽油引取税):対象は中小事業者等に限定。収集運搬に使う車両・重機の燃料コスト軽減になります。
- 日本政策金融公庫「環境・エネルギー対策資金」:申請窓口が「国民生活事業」(個人事業主・小規模事業者向け)と「中小企業事業」に分かれており、個人事業主でも利用可能です。
相談・伴走支援系(設備投資を伴わない)
- よろず支援拠点事業:無料相談窓口。開業直後で経営課題が明確でない段階でも気軽に利用できます。
- 経営力向上計画の認定:中小企業・小規模事業者等が対象。認定を受けると税制優遇(即時償却等)や資金繰り支援を受けられます(産廃業の申請先は環境省地方環境事務所)。
新規参入の個人事業主の方には、まず車両関連の制度(低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業、軽油引取税の課税免除)を確認し、あわせて「よろず支援拠点」での相談や「経営力向上計画」の認定も検討いただくのがおすすめです。
各制度の詳細な予算額・補助率・申請要件は年度や事業ごとに変わるため、最新情報は環境省が公表している「令和8年度政府支援策一覧」をご確認ください。
[令和8年度 産業廃棄物処理業者対象 政府支援策一覧(環境省)](PDF直リンク)
