生成AIが作ったものに著作権はある?


近年、生成AIの能力が格段に上がって、これを駆使して作品を制作するアーティストもたくさんいます。
その際、アーティスト自身が著作権侵害をしていないかに注意を払う必要もありますが、アーティストが生成AIを使用して作ったAI著作物自体に著作権はあるのかという点も議論の的となっています。

そんな中、11月20日に、千葉県警が生成AIで作られた画像を無断で複製した男性を著作権法違反(複製権侵害)の疑いで書類送検する方針、との報道がなされました。
これはAI生成物に著作権を認めて著作権侵害を適用した国内初の事例として注目を集めています。

記事によると、画像の制作者は2万回以上のプロンプトによる指示により生成したと述べており、AI生成画像に著作権が認められた決め手の一つであろうことがうかがわれます。

著作権法第2条には、著作物は以下のように定義されています。

著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

このため、AI生成物が著作権が認められる著作物といえるかどうかは、「思想や感情を創作的に表現」するために人間がどの程度指示をし、生成にかかわったかが総合的に判断されるのです。

国内ではまだ判例もないので、どのような条件が揃うと著作物と認められるのかは現時点でははっきりしていません。
しかし、自分の作ったものに著作権があり、その管理は自分がしていると宣言をしておくことはできます。

1つの方法として、以下のようなコピーライトの記載をしておくということがあります。

Copyright © 2025 AMISTAD GLOBAL

これにさらに、「All rights reserved.」「禁無断転載」などの文言を入れることもよく行われています。

このコピーライトの記載の有無そのものは、法的権利の発生要件ではありませんが*(日本では著作権は著作物が作られた時点で自然に発生します)、記載しておくことで以下の実務的な効果が期待できます。

  • 著作権の存在と権利者を明確に示す
  • 無断利用に対する抑止力とする
  • 権利者の探索を容易にする

2026年から「未管理著作物裁定制度」がスタートすることもあり、こうした宣言をすることは自分の作品が無断使用されることを防ぐためにも意義があることと言えるでしょう。
「未管理著作物裁定制度」については次回のブログで取り上げたいと思います。

* かつて、米国などが加盟していた万国著作権条約(UCC:Universal Copyright Convention)では、著作権の保護を受けるための要件として、©マーク、発行年、権利者名の3点を著作物に表示する「方式主義」を義務付けていました。 米国は現在ベルヌ条約に加盟し、国内法も無方式主義に移行していますが、©マークは当時の名残であり、特に古い国際的な著作権保護の文脈で利用されてきました。 著作権法の目的にもあるとおり、著作物の権利者を明確にすることは、著作物の保護と公正な利用促進の両方を目指しています。

参考


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